〜曳山まにあ・おじゃがの独り言〜 その29
新生鯱誕生前夜B


余りにきつかプレッシャーに作業ば中断して暫く休んでしまわした中島さん、休んだ三日目の
夜、龍の夢ん中に出てきたらしか。
その夢ばみてハッと気付かした。龍には角のある!鯱にゃ角とか無か!角んごたるとば
付けとるけんがオカシかっちゃなかやろか!?
早速作業ば再開して頭の廻りば取っ払ったらしか。
ツルンとした頭じゃ寂しかけんが前ん鯱には無かった耳ば付けてコブば付けてみた。
こりゃ良か感じばい!そっから先はスイスイと作業の進んで今の形の凡そ完成して
町内んモン達に協力して紙貼りばして一気に完成、そん年のくんちも新しか鯱で
気分も新たに水主町んモンも曳けたそうな。
ただ残念かとは中島瓦屋さんなもうちょっと鯱の口ば大きく開けたかったらしかとばってんが
頭廻りに手間取り過ぎて粘土の乾いてしもうたもんやっけんが修正のきかんやった事らしか。
まぁそれば差し引いても大変立派で誇らしい鯱として今も水主町んモンは当然、他ん人かいも
愛されて14台のうちの1台として毎年活躍しよります。

中島さん、当時他のヤマを見る度に素晴らしい造型、先人の苦労が偲ばれると
涙をこぼしながらヤマ見物をしておられたそうです。

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